会員便り
同期会便り

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日本建築学会会長就任にあたって

竹内 徹(昭和57年卒/本学教授)

 2023年6月より、第58代の日本建築学会会長を拝命いたしました。冬夏会員の同会会長就任は、小林政一先生、二見秀雄先生、加藤六美先生、清家清先生、仙田満先生、和田章先生に続く7人目となります。選挙に際しご支持いただいた冬夏会の皆様を含め全ての方々に御礼申し上げます。就任後、進めている施策には以下のものがあります。

1)ICTを利用した地域・性別・国籍を超えた学会サービスの整備
 コロナ時代を通じて一般化した住まい方、働き方、学び方の多様化を支えるべく、フリーアドレス、テレワークに対応した本会出版物のウエブ閲覧サービスを今年中には構造設計指針類より試行開始できるよう調整中です。これは建築デジタルデザイン・リテラシー教材など、ISBNを伴わない学会コンテンツのウエブ配信プラットフォームとしても利用することを想定しています。これらの施策は和田会長時代に進められたウエブを通じた会員サービスの充実の延長線上にあるものです。

2)「世界の中の日本建築学会」としての情報発信
 学術論文誌の低迷は海外への発信力の低下とリンクしており、特に構造分野においては国際標準と乖離しわかりにくい設計規準のガラパゴス化がその背景にあると言われています。構造系の設計指針において、各種構造設計規準と法的規準類、主要な海外設計規準との関係性の整理と評価を行い、実務設計者が使いやすく、海外からも理解しやすい設計指針ガイドラインの整備を試みています。国際論文誌であるJARとJAABEはScopusへの登録およびIM(インパクトファクター)の取得を達成し、さらなる充実を図っています。是非投稿をご検討ください。

3)これからの地域・まちづくりへの貢献
 今後、我が国では人口減少や人手不足の影響が地域、都市ともに大きな課題となっていきます。環境にやさしく災害に強く、若い人たちが子育てをし易いまちづくりをどのように整備していくかを議論し実現していかなければなりません。各支部と協力しながら地域ごとの歴史・文化や気候に配慮し、環境・防災機能に優れたまちづくりや施設計画、その検討プロセスに関する指針整備について迅速かつ丁寧に関連各協会と協力しながら進めていきたいと考えています。

 自身の会長就任に当たり、日本建築学会のミッションとして、「うつくしくタフな建築・まちづくりを目指して」というキャッチフレーズを付けさせていただきました。「うつくしさ」には、建築物やまちの美観だけではなく、伝統と文化、住まい易さ、自由度、持続性、環境へのやさしさなど、サステナビリティに繋がる様々な概念を込めたつもりです。一方、「タフさ」には諸災害や気候変動へのロバスト性、レジリエンスなどを含めました。是非引き続き、冬夏会の皆様の応援をいただけますと幸いです。