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和田章先生の日本建築学会会長就任とFazlur Khan Medal 受賞

竹内徹(昭和57年卒/本学教授)

  2011年6月より、本学名誉教授の和田章先生が第52代の日本建築学会会長に就任されました。冬夏会会員の同学会長就任は、小林政一先生、二見秀雄先生、加藤六美先生、清家清先生、仙田満先生に続く6人目となります。選挙に際しご支持いただいた冬夏会の皆様を含め全ての方々に御礼申し上げます。現在、和田会長のもとで執行部が進めている施策には、以下のようなものがあります。

1)シンポジウム「東日本大震災から1年を超えて」の開催
 東日本大震災は津波による多くのまちの災害、原子力発電所の災害を引き起こし、平野部の少ない国土における沿岸部のまちづくりのあり方、資源のない国におけるエネルギー問題と環境問題など、日本人が今後日本という国土でどのように生活し、文化・文明を維持し発展させていくかという大きな課題を顕在化させました。シンポジウムでは、地震によって引き起こされたさまざまな出来事がどのように起こったかを分析・総括するだけでなく、これからの新しい国つくりについて話し合う場の提供を目的とし、2012年3月1、2日に開催予定です。つづく3、4日には建築会館ホールにて、日本地震工学会、土木学会、地盤工学会、日本機械学会および日本地震学会との6学会の共催により国際シンポジウムを開催し、いま我々がどこにいるのか、どこへ行くべきかを議論し、海外に発信していきたいと考えています。ぜひご参加ください。

2)学会ホームページと会館ブックカフェの開設
 建築学会では現在、出版、ウエブ、会館を3本柱とした会員サービスの充実と会員数の確保のための施策に取り組んでいます。具体的には「建築雑誌のスリム化」「生き生きとしたホームページとメールサービス」「会館ブックカフェの開設」が現在進められています。ホームページの改定では、会員ページの階層化を通じ、クレジットカードを用いた電子決済により講習会の申し込みや書籍の購入、インターネット経由での各種イベントのビデオ同時中継など、より会員向けの深いサービスを提供しようとするものです。建築雑誌のスリム化とホームページの衣替えは、現在2012年初頭の改訂を目指して急ピッチで進められております。会館ブックカフェの開設には、建築学専攻の安田幸一先生にインテリアデザイナーとしてご協力いただいており、2012年8月の開設を目指しております。今後とも忌憚のないご意見をお寄せいただきますとともに、引き続き温かいご支援の程何卒よろしくお願いいたします。

 また和田章先生には、2011年11月に米国CTBUH(Council on Tall Buildings and Urban Habitat)より、2011年のFazlur R. Khan Medalを授与されました。この賞は超高層建物および都市環境の設計技術および研究に大きな功績を挙げたエンジニア、研究者に与えられる賞で、シカゴの超高層建築の黄金期に活躍したSOMの構造エンジニア、Fazlur R. Khanにちなんだものです。過去に受賞した方には、William Baker, Werner Sobek, Leslie Robertson 等、世界的な構造エンジニアが並んでおり、日本人としての受賞は初めてとなります。和田先生は地震頻度の高い地域における超高層建物の損傷制御設計の概念の提唱、座屈拘束ブレース等の具体的な損傷制御技術の開発、すずかけ台キャンパス耐震改修を含む具体的な建築プロジェクトへの関与、および海外での啓蒙活動が評価されての受賞となりました。2011年11月のCTBUH総会では、ミース設計のイリノイ工科大学クラウンホールで受賞講演会が催されました。また、同様の功績により、日本構造家倶楽部より今年度の松井源吾特別賞を受賞されています。