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坂本一成建築展「住宅−日常の詩学」欧州巡回展

中井 邦夫(平成3年卒/本学建築学専攻 助手)

本展覧会は、1969年から現在にいたるまでの30余年にわたり、坂本一成教授が手がけた主要な住宅および集合住宅作品を紹介するもので、2005年日EU市民交流年の一環として独立行政法人国際交流基金が主催する、ヨーロッパ各地を巡回する大規模な建築展です。展示内容は、2001年東京のギャラリー間で開催されその後広島、名古屋、仙台、山形を巡回した「坂本一成展:住宅−日常の詩学」をベースにしながら、新たなコンセプトのもとに大幅に刷新したものです。主要な展示物は、最大幅約6m×高さ約5mの約1/2スケール外観を含む、15作品の写真大判スクリーン20枚です。その前に立つ観客は、建物の空間を実際のスケールに近い臨場感で体験ができ、同時に、図面と模型、ビデオ、解説を合わせて鑑賞することにより、建物をより具体的かつ立体的に理解できるように配慮されています。またミュンヘン展の開催にあわせて、ドイツのEdition Detailより、英独2カ国語による展覧会カタログ「Kazunari Sakamoto Häuser/Houses」が出版されました。

 展覧会は、週に1万人を超える来館者を数えるドイツ屈指の総合現代美術館である、ミュンヘンのピナコテーク・デア・モデルネにて、2004年10月20日、500名を超えるゲストを集めた盛大なオープニング・セレモニーで幕を開けました(写真4)。会期中の2004年11月に行われた坂本一成講演会には、定員300名を超える入場者が集まり、また会期2ヶ月半の総入場者数はのべ10万人を越えるという大きな反響を呼び、ミュンヘンのみならず、ドイツ各地の新聞での紹介、ラジオでの坂本のインタヴューなど、各種メディアにも取り上げられました。

 その後、本展覧会は2005年11月現在までに、コペンハーゲン(デンマーク)、オスロおよびトロンハイム(ノルウェー)、ハープサル(エストニア)、ブルノおよびプラハ(チェコ)といった各都市を巡回し、さらに今後2006年3月までにスペインへ巡回する予定です。このように本展覧会は、これまでになく広域化するEU諸国の数多くの市民へ向けて、坂本一成教授の建築作品を通して東工大建築学科の精力的な活動の一端を紹介する貴重な機会となりました。