東京工業大学百年記念館コンバージョン・2階新展示室が完成

遠藤康一(平成10年卒/本学助教)
塩崎太伸(平成12年卒/本学助教)

 故篠原一男名誉教授の設計による百年記念館(1987年竣工)の2階に新しい展示室が完成し、2010年7月にオープンいたしました。去る7月22日には、多くの方にご列席いただくなか、内覧会と記念レセプションが開催されました。

  百年記念館は、特徴的な外観もさることながら内部空間の隅々まで意匠的な意図が細やかに含み込められた、世界的にも評価の高い建築作品です。学内の施設利用の変化および博物館機能の充実のため、これまで会議室として使われてきた空間の用途を変更し、新たに展示空間として再生することが2008年に決まりました。それに伴い、展示テーマの設定やその展示計画の作業と並行して、展示のための什器や内装改修等の空間計画、照明等の電気設備の変更、サイン計画等の空間のコンバージョンデザインを2009年より百年記念館の企画のもと行ってまいりました。


「地球史」展示室

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「百年記念館/篠原一男」展示室

 設計にあたっては、展示内容の検討と並行して、オリジナルの空間の質を最大限保存し、それと共存しながら新しい機能に対応した空間へと更新すること、今後の空間利用の可能性をなるべく吸収することが可能な計画とすることを念頭に置き、デザインの検討を行いました。具体的には、内装は既存空間の配色・素材を用いて改修し、その意匠上の特徴が損なわれないよう、展示什器は形態・素材を違えた、木とガラスによる可動式の四角い展示ケースユニットとしました。それらが壁面から独立して並べられること、またそこに展示物が陳列されることにより、既存の空間のなかに新しい空間が新たに添加されたような展示風景をつくることを意図しました。2010年11月には著名建築物の内装コンバージョンを評価していただき、2010年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。

 新展示室では、東工大の歴史、通信研究史、地球史に関する資料を展示する各室に加え、吹き抜けに面したガラス壁の部屋に百年記念館の解説と共に設計者篠原一男を紹介する展示室を新たに設け、模型やスケッチ等が展示されておりますので、ご来校の際にはぜひお立ち寄り頂けましたらとこの場をお借りしご報告させていただきます。

担当・遠藤康一,阿児雄之,塩崎太伸
パネルサイン製作協力・東克彦,宮城島崇人,和田健宏,丸子勇人