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建築家清家清展

藤岡洋保(昭和48年卒/本学建築学専攻教授)
(「建築家清家清展」実行委員会委員)

2005年に「建築家清家清展」が東京と札幌で開かれた。清家研究室卒業生を中心とする同実行委員会が企画し、東京では、松下電工汐留ミュージアム(7月23日〜9月25日)と建築学会建築博物館ギャラリー(7月23日〜8月24日)の2か所で、札幌では、その2つの展示を合わせて、清家先生がつくられた札幌市立高等専門学校で行われた(10月8日〜11月5日)。この催しは清家先生の作品や事績を紹介するもので、汐留では一般向けに、「私の家」(1954)のモックアップや2点の建築模型、1955年のヨーロッパ旅行の際のスクーター・ランブレッタなどを展示し、建築博物館では建築関係者を対象に、約80枚の設計図と3点の模型で、清家先生の建築を紹介した。

この展覧会では、1950年代に小住宅で一世を風靡した建築家という、従来の評価をそのまま踏襲するのではなく、その後の作品も含めて展示して、ユニークで、興味深い建築をつくり続けた建築家としてとらえ直すことをめざした。来館者数が、汐留で約1万5千、建築博物館が約4千、札幌が約2千2百と、建築展としては異例といえるほど多かったのはうれしい驚きだったし、建築関係者以外にも先生に関心を抱く人が少なくないことを再認識する機会になった。

今回展示した図面は、建築博物館に寄贈予定の約3万点の中から選んだもので、「齋藤助教授の家」(1952)の計画案など、初公開の貴重なものが含まれていた。また、東工大大学院建築学専攻の建築デザインコースの学生が作成した5点の模型が来館者に好評だった。

この展覧会は、清家家や松下電工、新建築社、冬夏会をはじめとする多くの方々のご助力によって実現したものである。関係者は展覧会のオープニングで先生のお元気な姿が見られるのを楽しみにしていたが、準備中の4月に惜しまれつつ逝去されたのが心残りとなった。

この展覧会をきっかけに、清家先生のお仕事に新たな光が当たり、その作品を読み解く試みがなされることを期待したい。

三 田
札 幌